2003年12月6日(土)
「鎌倉街並み探検」
鎌倉駅西口時計台広場集合

「鎌倉らしさって何?」と聞かれて、私たちが一番に思いつくのは大仏でも鶴岡八幡宮でもありません。街のあちこちに点在する洋風や和風の古い建物、そして緑多いしっとりとした路地・・。そういうものこそ、他の街とは違う「鎌倉ならではの雰囲気」を醸し出しているのではないでしょうか。
明治〜昭和初期、温暖な鎌倉は別荘地として人気を集めました。大正12年の関東大震災で多くの建物が壊れてしまいましたが、幸い第二次大戦の戦禍をまぬがれたため、戦前の民家が消失することなく今も残っているのです。戦時中、「価値ある文化財を有する鎌倉は、爆撃の対象からはずすべき」と米政府に進言したウォーナー博士こそ、鎌倉の守り神と言えるでしょう。
この明治〜昭和初期に建てられた「近代建築」は、日本らしさと外国らしさを併せ持つめずらしいものです。例えば、大正13年に駅の西口に建てられたホテルニューカマクラ。木造の二階建てで、今はめずらしい木枠の上げ下げ窓が美しく並んでいます。中は漆喰塗りで、クラシックな雰囲気が漂っています。
鎌倉の街のもう一つの魅力は「路地」。大通りを1本入ると、人力車がやっと通るぐらいの路地が東西南北に走っています。そこには板塀や生垣で囲われた民家がたくさんあり、独特の風情を醸し出しています。路地を歩く子どもたちからは、「どこかホッとする」「懐かしく感じる」という声があがりました。しかし現在は建築基準法により、4mに満たない道路に接する土地には建物を建てることができないため、鎌倉でも「路地のある風景」は日に日に減ってきてしまっています。この路地の雰囲気を将来に残すことができないか・・。今を生きる鎌倉市民に与えられた宿題であるような気がします。
今回のプログラムで子どもたちに一番人気だったのは、旧大佛次郎茶亭でした。茅葺き屋根の、大正9年築の木造建築です。「和風のイメージがいい」「黒塀の雰囲気がいい」「静か」「落ち着く」などなど、子ども達なりに古い家の魅力を感じ取ったようです。ここでは全員目を閉じて、音や匂いに集中してみました。鳥のさえずりや木の葉が揺れる音、湿った草の匂いなど、普段の生活では意識しない「自然」を身近に感じられたことも、人気の理由と思われます。
他にも大正13年築の東勝寺橋や、いくつかの近代建築を見て回り、最後は昭和3年築の鎌倉国宝館を見学して解散しました。日頃歩き慣れた道も、視点を変えて歩くといろいろな発見がありました。親も子もあらためて自分たちが暮らす街の魅力に気づいた一日でした。

↑ 明治時代の駅舎の時計台が移設された西口公園
↑ 西口公園にあるウォーナー博士像
 
  
↑ ホテルニューカマクラは大正13年築
↑ ニューカマクラの旧館ロビー
↑ 中には廃墟と化してしまった建物も・・
 ↑ 小町通り下を流れる川
 ↑ 茅葺き屋根が趣ある旧大佛邸
↑ 緑の残る路地は鎌倉らしい風景
 ↑ アーチを描く東勝寺橋
↑ 大正時代に作られた史跡碑がいたるところに
 

集合場所
鎌倉駅西口 時計台広場集合
時 間
10:00集合 解散12:00
持ち物
・ 筆記用具
内 容
 9:30 オリエンテーション 今日のプログラムの説明、自己紹介
 9:45 ホテルニューカマクラ見学
 10:00 鎌倉駅東口へ移動
 10:10 小町通り〜路地を歩く
 10:40 旧大佛次郎邸見学
 11:00 東勝寺橋へ移動
 11:20 鎌倉国宝館見学
 11:50 解散

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